大腸がんの症状
大腸がんは大腸ポリープと深くかかわりがあり、定期健診や人間ドック等で発見される事が多く、その結果に落胆される方も大勢いらっしゃるでしょう。しかし、ポリープの段階でがんが見つかるということは、早期発見だといえ、むしろラッキーな事なのです。なぜなら、この段階で見つかった大腸がんは、摘出によって治療する事ができるからです。
深刻なのは、初期の大腸がんは自覚症状が少ないため、体に異変を感じたときにはすでにかなり進行してしまっている場合です。ですから、定期的な検査は最も大切な予防といえるわけですが、主に排便時にでる症状から、大腸がんを疑う事ができます。ここでは、部位別に大腸がんの症状を紹介したいと思います。大腸は、成人では1.5mもあるとても長い構造の臓器です。しかし、がんが発生する可能性のある部分はある程度決まっていて、直腸とS状結腸に集中して見られる傾向があります。
大腸がんの中で最も知られている症状は、出血、便異常、腸閉塞でが、がんが発生した場所によって多少、現れ方が変わってきます。
上行結腸・横行結腸のがんの場合
便は食物から栄養分が吸収された残りものですが、それらは食道から入って、胃や小腸を通り、大腸に流れてきます。この大腸では、栄養の吸収はほとんど行われず、主に水分の吸収と便の形成、そして外部への排泄を担っているわけですが、上行結腸や横行結腸は、小腸に近い場所で、便の形成を始める場所であり、ここにあるときの便は、まださらさらの液体の状態にあります。
それゆえに、この場所にがんがあり、出血していた場合には、体外に排出される頃には固形化しているため、便からその痕跡を肉眼で発見する事はとても難しい事です。また、便通障害や腸閉塞もないため、自覚症状もありません。しかし、上行結腸は貧血の症状が良く見られるため、血液検査などでヘモグロビンの数値が著しく下がっていた場合、大腸がんの検査も受けたほうが良いといえます。
そのほかに、お腹にしこりのようなものを感じたり、腹痛が起こったりします。
下行結腸・S状結腸のがんの場合
下行結腸やS状結腸は上行結腸と直腸の間にある部位をいい、ここににがんがある場合は、粘液性のある血便が出たり、便秘や下痢を繰り返すなどの便異常、腸閉塞を起こす場合もあります。尚、上行・横行を含むこの結腸がんは近年、女性の間で急激に増えてきており、がん全体の部位別死亡率が1位なのですが、その理由については、いまだ良く分かっていません。
直腸がんの場合
直腸とは、肛門に最も近い部分の事をいい、直腸がんは大腸がんの中で、最も多く発見されるがんです。
この理由の一つとして、便が留まっている時間が長い事が考えられています。これは、便に含まれている発がん物質が、長時間滞留しているため、がんになりやすいのではないかという見解です。
直腸がんの症状としては、便、もしくは肛門に出血が見られます。この場合の出血は鮮血に近いものが多く、痔の場合の出血と似ているため、注意が必要です。ですから、それと見分けるために、潜血検査をお勧めします。このように大腸がんはそれぞれの部位ごとに特徴のある症状があるわけですが、出血などがあれば、普段の生活でも異変に気付く事ができますが、些細な症状でも、例えば下痢や便秘などといった身近な症状も長く続く場合などは、一度便潜血検査を受けたほうが確実に大腸がんを早期発見できます。
特に、40歳を過ぎた方には、大腸ポリープなどができやすくなってっきているので、そういった症状がなくとも、毎年の検診をお勧めします。
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